2003年9月 大阪労連大会発言

33年間の発言と退出 - 2003年9月 大阪労連大会発言

2003年9月 大阪労連大会発言

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33年間の発言と退出
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webmaster 2011-6-14 16:04

2003年9月
大阪労連大会発言

私は、議案書8ページの、年金改悪反対、消費税増税反対、最低保障年金制度の創設を求めるたたかいに関連して社会保障のたたかいについて意見をのべます。

第1は医療改悪反対のたたかいの総括に関わって、労働者・労働組合の社会保障闘争の位置付けとたたかいについてです。

老人医療・健保3割負担・診療報酬の改悪という医療の大改悪に反対するたたかいでは署名・宣伝活動、集会、議会決議など、医師会をも巻き込んだ運動が展開されました。

議案書3ページにおいても「保守層を含む広範な反撃」として4師会の取り組みに触れられています。今回の医療改悪が、診療報酬の改悪に端的に現れているように、小泉構造改革の規制緩和と市場化による医療分野の再編・淘汰でありこの矢面にたたされている開業医が立ち上がらざるを得ない状況があったとはいえ運動の前進といえます。

しかし、こうした運動の前進の一方で、国民健康保険で3割負担を強いられている多くの国民が今回の医療費負担軽減の運動課題の外においやられていたのではないでしょうか。

大企業のリストラなど政府・財界の労働力の流動化政策のなかで、失業者の増大、400万人を越えるフリーターに象徴される不安定雇用労働者の激増は、雇用者に占める政府管掌保険加入者数が1990年の71.7%から2000年には66.2%にまで低下してきています。こうした中で大阪府下において国保加入世帯が増加の1途をたどっています。この1年間で府下の自治体では平均3.8%の増となっていますが18自治体で5%越える増となっており、人口比でも大阪市の42.9%に続いて守口・門真でも40%を越えています。

また、今年から導入された総報酬制による一時金における負担は労働者だけでなく多くの中小企業主が事業主負担に悲鳴をあげています。そうしたなかで一部の経営者は、労働者に「雇用を守る」からとして「健保の任意継続」や「国保」への移動を強制する事態も生まれてきています。

いまや「国保」の問題は零細な企業主と家内従業者の問題に止まらず、現役労働者、失業者や不安定労働者の大きな要求課題であり、この間の健保の窓口負担を2割に戻すという狭い要求ではなく、国保を含め「8割給付」を求めるたたかいを、労働者・労働組合が率先して取り組むことがもとめられているのではないでしょうか。

この間の医療改悪反対のたたかいが大阪においても全国でも医労連、保険医協会、民医連など医療従事者を中心としたたたかいになっていた事は否めません。大阪では加盟組合ではありませんが、土建の建設健保の現状を守る上での、共闘の課題としても重要だとかんがえます。まさに労働者・労働組合が社会保障闘争において政策的にも組織的にもイニシアチブを発揮したたかいが求められているのではないでしょうか。

次に全労連が提起している最低保障年金制度の創設を含む年金闘争について意見をのべます。

10月ともいわれている厚生労働省の04年改悪原案発表を控えて、9月4日社会保障審議会年金部会の意見書案が公表され翌5日には厚生労働大臣私案が発表されました。昨年12月の、「年金改革の骨格に関する方向性と論点」と題するたたき台の発表で、掛け金の引き上げか給付の削減化とおどしをかけ、年明けには奥田経団連会長の消費税引き上げ発言、最近では世代間の対立を煽る終身給付総額の格差の宣伝と世論誘導に血道をあげてきましたがその狙いは意見書案にもあるように保険料の大幅引き上げと給付の削減にほかなりません。労働力の流動化による掛け金総額の減を、いわゆる「65万」問題で低賃金労働者と中小零細企業主に新たな負担を強いるなど、その手法は「社会保障」を富の再配分ではなく、2重、3重の搾取の強化の手段としていこうとしています。

そうしたなかで、全労連が掲げた「最低保障年金制度の創設」という要求課題は政策的に個々の攻撃を打ち破る内容をもっていますが、切実な課題や要求・不満をかかえている個々の労働者にどうベルトをかけていくのかが問われています。

そうした意味で、今回のたたかいは、年金制度に期待感を喪失させられている青年層をどちらが握るのかにかかっていると思います。世代間の給付の格差を強調し世代間対立を煽る政府・財界の攻撃に有効に反撃する運動の構築が求められています。例えば年金問題若者3000人アンケートを実施するとか、さらには大阪での医療改悪反対闘争の経験を活かし、意見広告や新聞折込といったマスコミ媒体を使って広く府民に訴える宣伝行動など、お金もかけてたたかうという姿勢が必要ではないでしょうか。

「ストライキを含む国民総決起」としたアドバルーンだけでは全労連の戦う姿勢が見えてこないのは私だけでしょうか。今回の年金改悪は21世紀の半ばまでを規定する今後40年間を縛る内容を持っているといわれています。まさに現役労働者それも20代、30代の青年の課題であるわけで、年金者組合や中高齢者だけのたたかいに終わらせることなく、敵の攻撃に対置した具体的運動の展開を要望します。

最後に第2号議案の組織拡大基金のとりくみについて意見をのべます。全労連が石川の全国討論集会でこの問題を提起して2年がたちました。膨大な未組織労働者の組織化はナショナルセンター、ローカルセンター、産別をふくむ総ての労働組合の至上命題です。しかしこの間の論議の方向は、金は産別、未組織の組織化は地域といった図式が大勢であったように思われます。しかし政府・財界の労働力の流動化はそんな図式を打ち砕いています。いまや公務員職場も含めあらゆる産業で派遣、下請け、分社化など不安定雇用や、雇用形態の異なる労働者が同じ職場で働いています。先の156国会での改悪労働法制は、この状況をさらに拡大させることは必至です。「全労働者を視野にいれたたたかいを」ということが良く強調されますが、視野にいれるだけで組織化に足を踏み出さない、本工主義では職場そのものが消滅するといっても過言ではない状況に直面しています。

大阪自治労連においても、非正規労働者の組織化を単組まかせにするのではなく、昨年12月公務公共一般を立ち上げ、自治労連組織の無い空白自治体の柏原学童をはじめ大阪府、大阪市の非常勤・臨時職員や外郭団体雇用の非常勤職員など8つの労働組合を次々と結成し、8月2日の大阪府公務公共職員労働組合、9月9日の大阪市公務公共労働組合の結成につなげてきました。大阪府公務公共職員労働組合は全国の県庁職場における関連労働者の組織化の第1号となりました。職場、産業、地域において労働組合とは、ローカルセンター機能とは、産別機能とはなになのか、私は今回の基金運動はローカルセンター機能、産別機能の発揮に向けた新しいというより脱皮にむけた第一歩だと考えます。労働組合が労働組合としての本来機能を発揮するため未組織労働者の組織化をあらゆる段階において総ての組織が第一義の命題として位置付けてこの基金運動を取り組んでいかなければならないという決意を述べて私の発言を終わります。

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