1994年1〜3月 昇任問題支部ニュース 適正評価の秘密主義今年こそ民主的で明朗な昇任の実現をめざして

33年間の発言と退出 - 1994年1〜3月 昇任問題支部ニュース 適正評価の秘密主義今年こそ民主的で明朗な昇任の実現をめざして

1994年1〜3月 昇任問題支部ニュース 適正評価の秘密主義今年こそ民主的で明朗な昇任の実現をめざして

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33年間の発言と退出
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webmaster 2011-6-1 16:45

1994年1〜3月
昇任問題支部ニュース 
適正評価の秘密主義
今年こそ民主的で明朗な昇任の実現をめざして

−94年度の技術系職員の昇任問題シリーズ開始にあたって−

土建支部は昨年5回にわたって「昇任問題を斬る」のシリーズを支部ニュースに掲載してきました。
府職労は昨年11月12日に人事委員会に対し要請書を、12月13日には府当局に対して昇任問題に関する要求書を提出してきました。支部も12月2日に「民主的行政の運営と職員が意欲をもって土木・建築・企業局行政を遂行できるよう技術系職員の昇任における格差を解消し、民主的基準により昇任を実施を求める申し入れ書」を3部局に提出してきました。
ここでの基本は昇任における7つの格差を解消するには、ポスト増=一定年令、一定基準での昇任が不可欠だとの考えを前面に打ち出したことです。今年はこうした角度から土建支部エリアにおける技術系職員の昇任についての問題点と現状をシリーズで明らかにしていくこととします。

シリーズ1 他府県に見るポスト増の努力と工夫

団塊の世代対策は大阪府に限らず、全国の都道府県でも抱えている課題です。他府県における技術系職員の処遇がどのように実施されているかをさぐって見ました。

【副技幹、技術専門員、主任主査、部付、課付など様々な処遇でポスト増をおこなっている現状】

全国的にみれば課長−課長代理−係長というラインに加え、主幹−主査というスタッフでのポスト増の手法に変わりはないものの、大阪府のように主幹−主査にとどまらない努力と工夫が多くの県でなされているのが実態です。
(表-1)各県におけるポスト増の現状

【建築技術者では40才以上の一般職員がいない県が大勢】

各県毎の建築技術者の一般職員(役付きでないもの)の最高年令を調べてみたのが表−2です。(日本住宅協会発行の全国官公庁建築技術者名簿から)
(表-2)全国主要都道府県の一般職員の最高年齢

これによると1955年(昭和30年)前後の生まれ最年長という結果がでています。

シリーズ2 昇任格差と賃金格差のダブル格差で賃金水準が大きく低下

【公務員の賃金制度の変遷】

公務員の賃金は、スト権剥奪=人勧制度の下で労働者全体の低賃金構造を支える機能をもち、スト権剥奪以降47年間様々な低賃金・分断政策がとられてきました。

〈通し号俸と生活給の重視〉
1957年(昭和32年)までは、「通し号俸制」といわれる賃金体系のもと、いわゆる「職務・職階給」の形でない給与制度を確保し、生活給を基本としたベースアップを勝ち取っていきました。

〈8等級制の導入で職務・職階給を強化―しかし、ワタリで一定の賃金格差是正を容認させる―〉
ところが、職員の管理強化をねらいとした政府は、人事院勧告で「給与制度の全面見直し」を打ち出し、1957年「職務・職階給強化」の8等級制の導入をはかりました。
自治省も地方財政危機をテコに国と同様の改定を自治体に「指導」しました。
しかし、自治体労働者の強い反対闘争で自治省は「国に準じた給料表を使用する条件として、等級への格付運用の幅を認める」という、いわゆる〃ワタリ〃を認めざるをえませんでした。

〈臨調・行革でさらなる職務・職階給の強化へ―11級制の導入で“ワタリ”効果の削減へ―〉
80年代に入り、第2臨調が設置され「地方行革大綱」で「公務員の給与の適正化としてワタリ、昇給短縮の是正措置、退職金の是正など公務員の人事管理、給与制度にも大きく踏み込んできました。それに呼応して85年人勧では、11級制導入を中心とする職務・職階給の強化を勧告しました。この11級制は上位級への格付(昇格)のハードルを増やすもので、格差拡大、職員の分断、支配体制強化の武器として使われたのです。
大阪府においても、一般職(役付きでない職員)が8等級制の下では42〜45才で4等級へわたれた者が11級制の導入により、4等級に相当する7級へは55才でしかわたれないという実態になってきています。(表−1)

(表-1)上位の級への格付け基準
    一般職の格付け年齢(標準比較)

〈一時金の傾斜配分でさらなる格差の拡大が〉
給与の面で低い水準におかれただけでなく、90年の人勧では一時金に格差を持ち込む、傾斜配分が導入され、一般職では48才にならないと10%の加算が受けられないという新たな分断策が持ち込まれました。

【10年前とくらべて見れば】

こうした格差・分断策は、一般職の給与水準を引き下げる結果として現れています。
職務・職階給の強化は人事管理と結びつき、昇任されないと賃金が上がらないという仕組みとして管理体制=もの言わぬ公務員づくりとして機能しています。(表−3)
(表-3)1982年と1992年での賃金水準比較

〈40才から格差が拡大−15年間で600万円もの格差が−〉
10年前の賃金水準を現行給料表におき直して比べて見たのが(表−2)です。
昇任問題の1つの側面である賃金要求=生活向上の切実さがここにあるわけです。

(表-2)標準到達ラインと基本給比較


 

国際化を標榜する大阪府がひざ元でのひどい男女格差解消に手をつけず

大阪府はこの間“国際化”を施策の中心的スローガンに据えています。これは時代の流れであり、重要な課題です。
しかし、空港建設だけが国際化でないことも明らかです。1975年の国際婦人年とそれにつづく国連婦人の十年、そしてナイロビ将来戦略と、男女平等−女性の地位向上は世界の命題となっています。

【男女差別は社会的損失−男女同率をめざし2000年までに30%の登用を】

国連の婦人の地位委員会は「真の意味の男女平等が達成されなければ経済的、社会的開発の遅れ、人的資源の誤用、社会全体の進歩の後退につながり、社会へのつけは高価なものになる」と警告しています。
そして“女性2000年への挑戦”でナイロビ将来戦略の実施にあたって「将来は男性との同率達成をめざし、2000年までに公的企業と私企業での指導的役職に就く女性の数を少なくとも30%に増やす」ことを指示しています。

【25%の登用は大阪府が自ら定めた数値】

大阪府は「男女協働社会をめざす大阪府第3期行動計画」――男と女のジャンププランで審議会等の構成員の女性比率を1995年までに25%の達成を掲げています。世界行動計画の趣旨からいえば大阪府職員においても達成すべき数値であることは明らかです。
大阪府には多くの職種が存在しますが、女性が存在する職種34職種のうち役職比率が25%を上回っているのは3職種にすぎず、それも十数年間採用がないとか女性が3人しか在職しないなど年齢構成がいびつな職種のみです。このように総てと言っていいほど女性の役職比率は25%に達していません。
「ジャンプ・プラン」の達成年次を来年に控え“団塊の世代対策”と同様に“女性の参画”対策が大阪府の責務であることは明らかです。

【女性だけの職種や女性比率の高い職種での「男女格差」と混合職種での男女格差の現状】

男女格差とは、男性と女性の相対的比較が一般的なものです。
ところが「ピンク・ゲットー」といわれる、女性だけの職種や圧倒的に女性の多い職種にあっても女性の地位が極端に低くおかれているのが大阪府の昇任における現状です。
表−1は、女性の比率の高い職種における役職比率を表したものです。
表2はそれを「試験制度」のある一般行政職との比較をグラフにしたものです。
この極端な格差こそ是正されるべき課題です。

【到達職階のしくみ】

もう1つの格差は女性の「到達職階」の低さとその人数です。(表−1)
到達職階が低く、またその人数が少ないほど、役職比率が低くなるというのが大阪府の「ポスト論」の構図なのです。
1975年には初級行政職採用の男女区分が撤廃され、「参加」はある程度是正されましたが、「政策決定への参画」は役職比率が示すようにまだまだ問題が残されており、女性の政策決定への参画が急務となっています。

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