1987年8月 自治労婦人部大会での総括討論(徳島大会)

33年間の発言と退出 - 1987年8月 自治労婦人部大会での総括討論(徳島大会)

1987年8月 自治労婦人部大会での総括討論(徳島大会)

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33年間の発言と退出
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webmaster 2011-5-12 9:43

1987年8月
自治労婦人部大会での総括討論(徳島大会)

連合路線に反対し、たたかう婦人労働者の道を迷わずにすすみましょう

私は、総括討論に参加するにあたって、第32回自治労婦人部定期総会が、全国の自治体職場に働く47万婦人組合員の生活と権利を守り、地域住民の福祉の向上にむけ闘うという労働組合運動の原点にたった方針を確立し、全国の婦人労働者を励まし、自民党中曽根内閣の反動政策と対決する産別方針を決定することを強く望んでいるものであり、そのことは本日参加している全ての代議員、傍聴者、そして、全国の仲間たちの思いであり、期待であることをまず確認したいと思います。

そして、2日間の討論を通して、どこに一致点があり、共同して闘えるのかを確認し、自治労47万の婦人が団結して闘いを進めていく方針の確立が求められていると考えます。
今総会は自治労47万婦人組合員の意志を総結集する場であると同時に最高の決定機関です。

この場を、婦人労働者の意志集約の場とするのかそれとも“親組合の方針は決っているから”とか“婦人部は補助機関だから今さら何を決めても無力だ”“今からでは遅すぎる”として婦人部の自主性や独自性を自ら放棄することは、婦人労働者に対する背信行為だと言わざるを得ません。

昨日の兼田育記長あいさつを奇異に感じたのは私だけではない筈です。様々な意見や論議があったとしても、労働戦線問題は今大会の最重要課題であるという認識は一致をするところだと考えます。

自治労も本総会に資料として同封している労線特集号を全組合員に配布して討論を呼びかけ、7月の婦人部長会議においても、真剣な討論が行われた労働戦線問題に一言もふれない兼田書記長の真意はどこにあるのでしょうか。

一方では、政治意識が高まったと、婦人労働者を賛美し、他方で、婦人労働者総体としての組織である婦人部に対しては労戦問題など、論議しなくてよいとしているのではないでしょうか。

それを受けた形で、高橋副部長は昨日の答弁の中で、今総会は労働戦線問題を決める場でないと発言されました。この発言は、労働組合運動の中での婦人部組織の地位を自ら低めるものとして、到底容認できるものではありません。

今年はあの雨宮生糸工場で日本で初めて労働者がストライキに立ちあがって百年目を迎えます。

人間の尊厳を否定した過酷な労働条件にたちむかったのが婦人労働者であり、その闘いが今日の労働条件をつくりあげてきたことに確信を持つのは私だけではない筈です。歴史の積み重ね、労働者の闘いは、その時代の労働者の問題だけでなく、将来に大きな影響を与えることは明らかです。

国際婦人年の世界行動計画の指摘にもあるように婦人が政策決定の場に登場するのほ、何も議員や行政レベルだけでなく、労働組合の意志決定の場でも重要であることは言うまでもありません。私たちに求められているのは自治労方針の決定に際し、参加し見守るだけではなく参画し、婦人の意志を表明することではないでしょうか。

労働戦線をめぐる緊迫した今日の情勢のもと、本総会での結論がどれだけの意義と重さを持っているのか、私たち婦人労働者の未来を握るのが今総会の決定だと言っても過言ではないからです。

私は今定期総会の運動方針が自治労本部婦人部常任委員会として、“苦汁に満ちた提案”なのか、それとも“組合員の批判をそらすための整合性のないその場しのぎの方針”なのか判断に苦しみました。

労働戦線の問題で言えば、29頁では『労働戦線の統一にむけて自治労の基本方向に沿って全力をあげる』としています。自治労の基本方向とは総評方針を支持し、自治労が官公労部隊の旗振り役をするということであり、具体的には今秋に発足する全民労連連合への合流、1990年には総評を解体するという内容のものです。

この同盟主導の連合が、階級的な闘う労働組合でないことはこの2日間の討論で臨調、行革、民間における大合理化攻撃など具体的事実に基づいて、多くの代議員が指摘してきたところです。

さらには連合の憲法だと言われる「基本構想」においても日本の経済発展は、良好な労使関係の下で、オイルショックを乗りきったとしている点など、私たち婦人労働者にとって到底容認できるものではないことは全体が一致できる認識だと考えます。

とするならば、20頁の「労働戦線の右傾化を許さない」とする記述や、29頁6行目の「全民労協を軸とするのではなく」とする記述には大きな矛盾と乖離があります。自治労の方針は山口大会での“全民労協を全的統一の母体としない”という点から昨年の山形大会での“全民労協を全的統一の対象とする”と方針は転換してきているのです。そして5項目3課題についても、「基本的な運動上の課題」としていた昨年の山形大会の決定も今年7月8日総評大会を前にした県本部委員長・書記長会議では、「いくつかの課題を残しながらも全民労協の連合組織移行にあたって結着をみようとしている。不十分な点はあるがこれ以上『進路と役割』を修正することは不可能という総評の見解を自治労も同様の判断をする」と見切発車に合意を下したのです。

こうした自治労としての方針の変化とともに14頁や29頁で言う総評労働運動の階級的強化による資本と闘う全的統一の達成という婦人部方針の記述は、1990年の総評解体までのたった3年間の慰めのスローガンなのでしょうか。総評の真柄事務局長ほ今年5月15日付の自治労通信でこう言っています。「労働戦線統一問題は、もはや事の是非を論ずる段階ではなく、いかに実行していくかの段階にきている。論理的には2つの選択がありうる。その1つは、総評の運動の伝統を優先させ、それを守ることである。私はその選択は誤りだと思う。少数派として残った総評は影響力をもたない、少数派、孤立、全体の力量を分散、不幸な選択だと思う」とのべています。

こうした総評の方針の下で「総評の階級的強化」を追求するのならば、総評の解体反対を自治労婦人部の定期総会の意志として表明する。すなわち総会決定とすべきです。私はこのことでは全会一致が得られるものと確信をします。

 私は、総評・自治労運動の階級的な闘いの伝統を守り発展させるには戦後労働運動の闘いの経過を事実でもって明らかにし、そのことが、今総会の方針に生かされているのかを検証すべきであると考えます。

1950年、アメリカ占領軍の援肋で結成された総評も、「ニワトリの卵からアヒルがかえった」と言われたように、全面講和を掲げ、国際自由労連加盟を否定しました。

1952年の戦後の反動攻撃による占領下の諸法令の再検討をとのアメリカからの指令で、経済法規、労働組合法、労働基準法などの改悪攻撃に対し、総評は労基法改悪反対闘争委員会を設置し、4波にわたるストライキを行使し闘いました。総評婦人協25年史の作成には前婦人部長の寺田さんも参加されていますが、「25年史」はこの労基法改悪反対の闘いの時、婦人部組織が解体をされていたことは婦人労働者にとって不幸であったとしています。まさに、婦人労働者のエネルギーを引き出し、ナショナルセンターが制度改悪反対の先頭にたつことの重要性を指摘しています。この闘いは、その後の婦人の権利拡大、母性保護闘争の前進へとつながっていったのです。

あのアメリカのベトナム侵略戦争に対し、国際自由労連がアメリカの侵略を全面的に支持していた時、総評がアメリカのベトナム侵略反対を世界に呼びかけ、10・21国際反戦デーを提唱し、国際的平和運動に大きく頁献してきたこと、春闘についても、1956年春闘が闘われてきた時、同盟の前身である全労はこれに反対声明を出し、その後、総評が共闘を呼びかけても全労幹部はこれを拒否し、同盟独自の「賃闘」という名の独自の賃金闘争をすすめましたが、総評を中心とした国民春闘は大きく発展し、多くの成果をあげてきました。

1973年の年金ストも同盟はスト反対を表明しましたが、年金ストの成功により年金制度は大きく前進しました。

60年安保闘争、1974年のインフレ共闘が私たちの賃金要求の前進につながったのは時の政府を政治的に国民が大包囲したからです。

これらの事実が示しているのは、まさに、“大きいことはいいことだ”ではなく、階級的に闘うナショナルセンターが存在してこそ労働者・国民のたたかいが高揚し要求が前進するということです。これが闘いの歴史の教訓です。

ところがこの間、統一準備会の発足、基本構想と労働戦線の右翼再編が進行するなか、年金健保の改悪、労基法の改悪、国鉄の分割民営化、とりわけ国鉄分割民営化については、60年安保闘争の前段に闘われた三池闘争とくらべると総評のとった態度と今回のそれとに大きなへだたりがあったことは国労組合員のみならず、多くの総評傘下の組合員の実感ではなかったのではないでしょうか。労働者が必死にたたかったにもかかわらず、全民労協・労働4団体との共闘を重視したこの間の賃金闘争、健保・年金改悪反対、労基法改悪反対、国鉄の分割民営化反対闘争の到達点、結果を見れば、全民労協との共闘という段階から、合流へ向かうことの結果がもたらすものは火を見るよりも明らかです。

私は7月の婦人部長会議で「このまま、全民労協の側に行ってしまえば、組合員から今まで言ってきたことと違うと言われる。まさに総評・自治労方針が変ってしまうことになる。官民分断を恐れて、資本と闘っている仲間との分断になる方向は賛成できない」との栃木の発言や、「全民労協は敵が明らかでないし、反独占・反自民も明確でない。自治労は、私たちに“全的統一”か“小さな左派結集”かの二者択一をせまってきているが、全民労協は労働組合の原点を投げ捨てており、自民党と一緒ではないか」との茨城の発言、「5項目3課題が解決しないかぎり全的統一を急ぐべきでない」とする、広島・山形・兵庫・富山の発言など、婦人労働者の声に耳を傾けるべきだと本部常任委員会に強く申し入れるものです。

そしてこの2日間多くの代議員から地方「行革」攻撃に反対する闘いの発言が相次ぎました。婦人労働者は地方「行革」攻撃に抗して、婦人労働者の生活と権利を守り、地域住民の福祉の向上にむけ、職場・地域から果敢に闘い、厳しい情勢の下でも家族看護休暇、育児休業の全職種適用を前進させ、「合理化」をはねかえした闘いが報告されました。まさに婦人労働者は全国の自治体職場で闘っているのです。闘いに勝利したところ、引き続き闘っている単組、残念ながら後退を余儀なくされた組合でも、婦人は闘っているのです。
その闘いをより前進させるためにこそ、産別としての方針やナショナルセンターの闘う方向がもとめられており、企業内闘争やローカル闘争を前進させ励ます力になるからこそ、自治労婦人部の方針が重要なのです。

まさに職場で地域で闘っているからこそ、私たちは自治労婦人部の役割を追及しているのです。

最後にこのまま本部原案どおり方針が決定されるとするならば、総評・自治労の取ろうとしている官公労部会構想…連合とのブリッジは連合側が否定している。直接参加は選別排除の道である。というなかで、連合系官公労組織をつくっての間接参加…ITS方式というのが、その方向であると考えられるのではないでしょうか。総評解散を前提とした官公労部会構想は、自治労がナショナルセンターをもたないという不幸な道への一里塚であるという認識が必要なのではないでしょうか。

私は、連合系官公労部会には参加しない。自治労綱領にたちかえり、地方「行革」反対など、組合員の要求と団結を堅持する。そして総評の解体に反対という、誰もが一致する方針を確定することが、戦後労働運動の階級的伝統を発展させ、階級的ナショナルセンター確立の道であり、婦人労働者の生活と権利を守り自治労婦人部の団結強化の道であると確信します。不一致点を強調するのでなく、一致点で団結してこそたたかいは高揚するのです。代議員のみなさんが、まさに階級的意固地を投げ捨てず、方針決定に参加されることを期待し、私の総括討論を終ります。
 

 

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